ずっと、近くにいた人を忘れてしまうほど
貴方のことが好きだったんです。
私が彼を好きな理由 <中編>
「萌、最近早起きね」
「あはは千佳姉さん程じゃないよ」
「おはよう」しか話してなかった従姉妹のお姉さん。
久しぶりにお話し出来たのは、私の好きな人のおかげ。
好きな人、木塚くんは朝早くに登校して音楽室でピアノを弾く。
日課みたいで、私はそれを聞くのが日課になった。
木塚くんには気づかれないよう、3階の窓の傍で。
きっと木塚くんは私が貴方の音を聞いていることに気づいていないのでしょう
早く行きすぎて一緒に登校してしまいそうになうピンチもありましたが
私は柱の影に隠れましたとも。
だって、あんなに早く登校するのは、誰にも聞かれたくないからなのでしょう?
だったら知らないままの方がずっと幸せ、違うかな?
ずっと弾かせてあげるから、どうか隠れて聞いてる私をお許し下さい。
木塚くんの音を聞くだけで、何だか優しい気分になれるから、毎日早起きなんです。
木塚くんのことが好きだから
ちょっと目が合うだけで、すごくドキドキした。
2年生になったときもクラスが一緒で友達に1日中電話で自慢してた。
昨日、朝話しかけてくれてすごくすごく嬉しかったの。
それでも、木塚くんに対して
―――ばか、だなんて思ってしまって
何様やねん!!!!ではなくて、自分の気持ちがすごい軽い気がする。
沙羅と比べると、尚更。
「んっ、もう朝〜?」
「・・・あっ沙羅」
「萌ちゃん?」
「起こしちゃった?ごめ」
「萌ちゃん泣いてたでしょ?」
やっぱり悪魔か。
超能力者か。
それとも私がわかりやすいだけ?
涙の跡が残ってた?
なんでわかっちゃう?そうだよ。
・・・・図星。
「沙羅は彼のために、全部捨ててきたんだよね。」
「うん。」
沙羅は自分を助けてくれた、彼のために、彼に会いにくるそのために
親とか、友達とか、お金とか、自分のもの全て捨ててきて、
こっちの世界に来たんだって。
その彼とだって、会えるかもわからないのに。
自分の全部・・・捨てて
「だけど萌ちゃん・・・!」
「気にしないで、沙羅」
そんな沙羅と比べたら、自分の思いはちっぽけで。
「何でもないよ、沙羅」
「・・・・」
「沙羅?」
「自分の思いに嘘なんてついちゃダメだよ。」
「私に嘘ついても全然、いいけど。」
「だけど自分にまで嘘つくのはやめといた方がいいよ」
私は沙羅の背を向けて
「うん」
て返事した。
涙が溢れた。
声をあげないように努力した。
本当は比べるなんて出来ないの?
思った気持ちは嘘じゃないなら。